March 07, 2005

芦原英幸 いのちの言葉

芦原英幸。
極真時代に、「ケンカ十段」の異名をとり、劇画「空手バカ一代」で、人気を博した天才空手家。
 
芦原空手は、それまでのフルコンタクト空手で主流の戦い方だった、正面からの打ち合いを否定し、相手に打たれずに倒す技術である「サバキ」を提唱し、空手界に革命をもたらしました。
 
芦原英幸が、極真時代を通じて、空手界に与えた影響は非常に大きかったと思います。
 
その芦原先代館長の、最後の言葉を綴ったのが、「いのちの言葉」という著書です。
 
「いのちの言葉」のまえがきには、次の言葉が記されています。
 

ここに、一人の男の生きた証しがある。

 「おい、紙と鉛筆を持ってきてくれ。いいか、俺が今から言うことを一言ももらさずに記録しろ。じきに俺は話せなくなるらしいから」

そう言うなり、若き日の知られざる側面、芦原会館設立への険しい道のり、そして空手道普及に全力を傾けた日々などを、赤裸々に語り始めた。

 晩年には、病が進行し、口が利けなくなった。それでも、門下生達、空手を愛する全ての人々、そして空手界全体のため、という信念から、熱い眼差しをもって文字盤を指で追った一文字一文字の結晶が、本書を形作ったのである。

まさに、死と直面しながら、最後の最後に、門下生や空手修行者に対して、命がけのメッセージを送ってくれています。
 
その「いのちの言葉」の中に、こんな言葉がありました。印象に残ったので、紹介します。
 

道場に来て、昔は昔は、と言う人に限ってその途中が抜けている。自分を強調したいばかりに、昔のことを大きく言って自分を大きく見せたがる。昔のことを話しても、後輩が興味を示さなくなってくると、だんだん話を大きくする。こういう人はさみしい。自分の世界に酔わないこと。

人間は、自分のことを大きく見せようとします。
大した事をしていないと、自分では知っているのに、「俺は昔は○○だったんだ」という風に。
 
でも、そんな人に限って、「じゃあ今はどうなの?」と聞くと、大したことをやっていないんですね。(って、私もその部類(汗))
 
年をとってくると、ついつい「昔は」という言葉が出てきます。
でも、それを聞かされる人の立場になってみると・・・
 
「それがどうしたの?」
 
という程度の感想しかないかも知れませんし、単純にウザイだけかもしれませんよね。
 
自分自身を大きく見せようと、虚勢を張ることよりも、もっと「今」を大切にして、今の、この瞬間を一生懸命生きたいものです。
 
そういう人間って、格好いいですよね。
 
ちなみに、芦原英幸は、生涯「一空手職人」を自認していました。
 
空手の先生だからといって、ふんぞりかえる事はなかったんですね。
 
「いのちの言葉」には、芦原英幸の思想がすべて入っています。
単に空手が強くなるためではなく、人生をよりよく生きるための教えが凝縮されています。
 
空手関係の書籍の中でも、最も好きな本の一つです。
 
 

芦原英幸 いのちの言葉―空手を愛する人々へ


mmmmy60137 at 00:13│Comments(0)TrackBack(0)格闘技の本 

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